神輿は神社の神を敬う行事で、氏子各位の無病息災を願って行われる神事の一つです。
長瀬は久比里から分離した町で、神社が無いので祭りの時は船で、若宮神社の神輿が巡幸して来たが、ある年に神輿を乗せた船が転覆してしまった。
それ以来久比里からの巡幸はなくなった。
神の恐れを警戒して、当時の鈴木勇町内会長は、町内会発足3 0周年を記念して、子供神輿の購入を計画して平成元年(1989) 7月に子供神輿を購入した。
購入先をあちこち検討の結果、刑務所の紹介で一番安価( 6 8万円)で、市価の半額の富山刑務所製品を選んで発注した。
神輿の高さは1.45m・台輪幅60cm・最大幅98cmの立山方で、重さ約60kg・ヒバ材の立派な物で、小粒ながら本格的の物だった。
色は黒の漆塗りで金色の装飾具に飾られて、ピカピカと輝き子供達は大喜びだった。(念願の神輿購入として、7月30日の神奈川新聞に写真と記事が掲載された)
これまでは、樽を綺麗に化粧した簡単な樽御神輿だった。
町内会では、新しくお迎えした神輿のお披露目を、8月6日に町内を担いで練り歩く予定で、1日に神職をお呼びして御霊(みたま)を丁重にお迎えしました。
久里浜地区全体の神輿パレードにも参加して、立派な神輿だと他町内より羨ましがられて、子供達も意気揚々として担いでいた。
最初は子輿として購入したが、大人神輿も欲しいとの要望が多くあって、募金を集めて資金を調達した。
新たに子供用の神輿を購入し、今までの神輿は大人用に改造して利用する事になった。この神輿は大人が大勢で担ぐには、60kg程の重さでは軽過ぎるので、鉛を乗せて重量を増して担ぐ事にした。
しかし大人神輿は要所々で激しく競るので、がたがたに変形してしまった。
何とか補修しようと仕事を終わってから、集まって夜遅くまで角材で補強する等の作業を続けた。
補修完成のお披露目の日に台風が来襲して、中止も考えたが若衆達の強い要望もあり、悪天候の中を強行して、無事皆さんにお披露目する事ができた。
風雨の中大勢の人からよくやったと多くのお褒めの言葉やご祝儀を沢山頂戴した。
以後毎年行われる刑務所の矯正展に刑務所玄関に展示されて、多くの人達が身近に見る事ができる。
展示された神輿を参考にして他の町内でも同じような神輿を購入する町が多くなった。